いつだってそこには君がいた。
朝目が覚めて、ベッドから起き上がれずにいる。
告白したのに好きな人と友だちを続ける、か……。
そんなことできんのかな。
でも、俺、やっぱり……あいつらが好きだ。
愛希も沙月もゆりりんも。
あいつらといると、すげぇくだらないことも腹を抱えて笑ってしまう。
今すぐには無理かもしれない。
だけどいつか、ゆりりんのことを友だちとして好きになれたら……。
深く息を吐くと、腹をくくってベッドから起き上がる。
久しぶりに制服を手に取ると、袖を通す。
本当は言う気なんかなかったんだ。
好きだなんて、言えるわけなかった。
だけど田中がふざけたこと抜かしやがって、頭に血がのぼってつい口をついて言ってしまった。
隠し通すつもりだった。
ゆりりんの恋がうまくいけばいいってそう思っていた。
だけど高校でのクラスが二手に分かれて、これはチャンスかもって、少し考えもしたんだ。
まあそんな下心は見事に砕け散ったのだが。
今日ゆりりんと会ったらちゃんとまた話そう。愛希や沙月とも。
俺と友だちでいてほしいって……。
定期券を改札にかざす。何気なくそのまま歩いて行くと、俺を驚愕させる出来事が起こる。
「はっ、まじかよ……」
笑顔の三人が、そこにはいた。
もう時刻はとっくに一時限目始まっている。
……本当にお前らって、バカだ。
「……おはよう」
緩む口元をそう動かした。
壊れると思った。壊れてしまえとさえ思った。
だけど俺たちの絆って、俺が考えるより強く結ばれていたんだな。
俺の考えが浅はかだった。
三人のもとへ歩み寄る。
風が優しく頬を撫でて、俺の背中を押した。