いつだってそこには君がいた。
改札を抜けるといつものベンチにいたのは高橋くんだけ。
胸が一度大きく高鳴り、そのまま早いスピードで鳴り続ける。
「おはよう、日高」
「お……おはよう、高橋くん」
ふたりきりで、すこしぎこちなくなってしまう。
だけどそれを隠すように自然の流れで彼の隣に腰かけた。
心臓の音、すぐとなりにいる高橋くんに聞こえたりしないか心配。
しばしの沈黙のあと、高橋くんが不意に「今度さぁ」と話し出して肩をビクつかせる。
「どこか行かねえ?」
「う、うん……?」
「どこ行こうか。映画とか、遊園地?それとも水族館とか?動物園もいいよなぁ」
「え、え?」
デートスポットの代名詞である場所ばかりをあげる高橋くんに戸惑いを隠せない。
「それってふたりで……?」
恐る恐る聞いた私に高橋くんが首をかしげた。
「当たり前じゃん」
「なんで!?私の告白聞かなかったふりしたくせに……!!」
かっと頭に血がのぼって、思わず叫んでしまった。
……あぁ、やってしまった。
言うつもりなんか、これっぽっちもなかったのに。
「あれ?俺、言わなかったっけ?」
高橋くんのキョトン顔に、今度は私が首をかしげる。
「日高のことが好きだって」
そして、私のもとに届いた耳を疑うような言葉。
だらしなく口を開けたままにして、小さく「え……」と声をもらす。
「だから俺、日高のことが好きだよ?」
ふわっと意識が飛びそうになる。
まばたきを繰り返して、高橋くんの大きな瞳を真っ直ぐに見る。
「言われて、ないよ……っ」
「ははは、そうだっけ?ごめん」
「もう……信じられない……っ」
どれだけ私が悩んだか、知らないでしょ。