いつだってそこには君がいた。



なんて、そんなこと言えるわけもなく。
もうそろそろかなぁって思ってたから、覚悟はできていた。


うちのお父さんは全国にチェーン展開している靴屋さんの店長をしていて転勤がすごく多い。
いわゆる転勤族だ。


中学校に入学してから県外であるこの家に引っ越して来てから2年。


いつも3年から4年のサイクルでお店を転々としていたから、いつもよりは少し早いけど、もうそろそろだろうと考えていた。


最近やけにお父さんとお母さんが夜中こそこそ話していたから、そうだろうなって。

お父さんの話じゃ、また県外に行くみたい。



「行って来ます」



白いスニーカーを履いて、歩き出す。
黒い長い髪はひとつに束ねて、黒縁メガネをかけたら、いつもの私の完成。


今日は中学校の終業式。
明日からは春休みだ。


お父さんが引越しは春休み中にするって言っていたから2年通った学校に行くのは今日が最後。


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