いつだってそこには君がいた。



「ごめんなさい、私……っ」


「いいって!こいつの教え方が下手なだけだしっ」


「そうそう!次がんばればいいんだよっ。まだはじまったばかりだし、気にしない、気にしない!」


「うっしゃ、俺が日高のぶんも全部ストライクとってやる〜」



ただ、私が下手なだけなのに。
どうしてそんなに優しい言葉をかけてくれるの?


高橋くんはわかりやすく私に説明してくれたのに、私がそれを実行できなかった。


優しくしてくれるのが、嬉しい。

優しく、笑いかけてくれる、みんなが嬉しい……。


こんな温かい場所があるなんて、知らなかった。


今までずっと、ひとりでいたから。


どんな時も。
誰かと気持ちを共有することなんて、なかった。



「うおっしゃー!」



喜んだ高橋くんの声にみんなが湧き上がる。

すごい、有言実行。
本当にストライクとっちゃった……。



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