いつだってそこには君がいた。
「朝ごはんはいいの?」
「うん、遅れそうだから行くねっ」
「わかった。気をつけてね」
「はーい」
「行ってらっしゃい」
玄関までお見送りに来てくれたお母さんに走りながら手を振った。
あまりしたことのないプチ寝坊。
走るとセーラー服のスカートが揺れた。
あ、またネクタイぐじゃぐしゃだ。
まあ、いっか。仕方ないね。
全然上手に結べないもん。
心なしか学校へ向かう足が軽やか。
いつもよりバタバタした朝なのに。
昨日あんなに沈んだ気持ちで歩いていた道のり。
昨日と今日でこんなに違うなんて。
見える景色もすこし明るく見えるのは気のせいかなぁ?
学校どんどん近づく。
また胸がドキドキして来た。
それはプレッシャーとかそういう重い感情じゃなくて、ワクワクするような、そんなポジティブな感情。
それからほんの少しの不安。
昨日の出来事はたまたま起こった奇跡みたいなことで、もしかしたらこれからまたひとりぼっちの毎日が始まってしまうんじゃないかって不安。
正反対の感情が心の中で混ざりあって胸の鼓動を早めている。