いつだってそこには君がいた。
本は好きだけど、私だって本当は友だちと昨日見たテレビの話とかで盛り上がりたい。
だけど、自分から誰かに声をかける勇気なんて……ない。
楽しそうに聞こえて来る笑い声が痛くて、本を持つ手にチカラが入る。
どれもが自分とはかけ離れすぎていて、劣等感を感じる……。
……いいな、みんなは楽しそうで。
なんで私はみんなとは違うんだろう。
なんでみんなは普通に、ごくごく当たり前にできることが、私にはできないんだろう。
それが、いつも歯がゆくて。
だけど変わることもできなくて。
ただ、羨むだけで、私はいつもひとりぼっち。
*
「はい、ではここで、みなさんにお知らせがあります」
ムダに長い終業式が終わって、教室に戻ると始まった三学期最後のホームルーム。
私にとってはこの学校で受ける最後の。
そんなホームルームで、最後の最後に、先生がやってくれた。
「日高さんがこの三学期を最後に、県外の学校へ転校することになりました」
先生の言葉にみんながザワつく。