いつだってそこには君がいた。
「日高さん、前に出て、みんなに挨拶してくれますか?」
「……っ……」
先生に名前を呼ばれて飛び上がる心臓。
私を見てニコニコ微笑む担任から目をそらして、うつむいた。
……最悪だ……。
みんなの前に立って挨拶するなんて。
痛いぐらいに動く心臓と、震える手。
みんなの目線も、痛い。
早くしろって、みんな思ってる。
せっかくお昼で学校が終わって、これから楽しい春休みが始まるっていうのに。
私が、こんなだから。
みんなに、迷惑かけてる……。
「……っ……」
くちびるを噛んで、手にぎゅっとチカラを入れて立ち上がる。
ゆっくり一歩一歩を踏みしめながら、みんなの前に立った。
……なんて言えばいいんだろう。
チラッと前を向くと、みんなの視線が私一点に集まっていて、胃がキリキリ痛くなる。
ここから今すぐにでも逃げ出してしまいたい衝動に駆られる。