いつだってそこには君がいた。



高橋くんは優しいから例え変だったとしてもきっと「変」とは言わないって心のどこかで思っていた。だけれど、その真っ赤な顔は反則すぎやしませんか。


その顔が演技でできるとは思えないから、その言葉を信じてもいいかな?


……いいよね、たぶん。


生まれて初めての「可愛い」を頂いてしまった。
しかも初恋の、高橋くんに。


顔が、にやけてしょうがない。



「優梨ちゃんおはよー!」


「さ、沙月ちゃん」


「なになに、どうしたのふたりして顔赤くしちゃって」


「えっ」
「えっ」



重なった声に高橋くんと顔を見合わせると、頬と耳の辺りを赤く染め上げた彼に気づく。


私も高橋くんみたいに顔が赤くなっている?


確かに恥ずかしくって、顔に熱がこもっているのは感じる。


ーーキーンコーンカーンコーン。


校内に鳴り響いた予鈴。
やばいやばいとみんなが慌てて教室に向かい出す。


高橋くんも顔を手で隠しながら小走りで行ってしまった。



「優梨ちゃんも遅れるよ!」


「っ、うん……!」



沙月ちゃんがそう言うとみんなと同じように動き出す。


私も行かなくちゃと走りだそうとした時、まだ後ろにいた結城くんに気づいて「行かないの?」と声をかけた。



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