いつだってそこには君がいた。



すると「ふっ」とこぼすように息を吐き出した結城くん。
数歩こちらに寄ると、触れられる距離になって、私の前髪に手を伸ばす。



「俺だけが知る、ゆりりんの秘密だと思ってたのにな」


「え、え……?」



私の前髪を雑にかきあげて、不器用に笑う結城くんと目が合う。額と額がぶつかりそうになるほど近い。


結城くんの目が水分を含んで、揺れている気がするのは錯覚……?


どういう意味か全然わからなくて戸惑う私に「行くぞ」と結城くんが踵を返すように歩きだす。


い、今の、どういうこと……?


乱れた前髪を整えながら「待ってよ」と結城くんに続く。


今の結城くん、ちょっと様子変だったな……。


いったいどうしたんだろう?




***



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