いつだってそこには君がいた。



え……?



「そうだね。みんなでB高校に行こう」



沙月ちゃんの言葉に結城くんも頷く。


うそ、なんで?

なんでみんなが私のために頑張るの……?



「そんなの、申し訳ないよ……っ」


「なんで?俺らの進路だし、日高に関係ないだろ?」


「いや、だって」


「俺たちが勝手に日高と同じB高校受験するだけだから」



言葉が詰まってうまく出てこない。
もっと言わなきゃいけないことも、言いたいこともあるはずなのに。


……甘いよ、高橋くん。

私をこんなに甘やかせて、どうするの。


嬉し、すぎるよ。



「日高は俺たちに勉強教えて」


「そうそう。ゆりりんが一番頭いいんだし」


「私らバカだから、骨が折れるよ?覚悟はできてる?」



3人の言いぶんに笑う。

目尻に溜まった涙を人差し指で拭いながら「まかせて」と言った。


こんなにも幸せでいいのだろうか。


みんなで同じ高校を目指せるんだね?


目標をひとつに、来年からもみんなで一緒にいられるように。


私だけかと思っていた。
みんなと同じ高校を受けたいと、離れたくないと思ったのは。


だけどみんなも私と同じように考えてくれていたこと、幸せにしか感じない。



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