いつだってそこには君がいた。



頑張ろうね。



***



「くー、わっかんねぇー」


「高橋くん、そこはさっきも教えたよ?」


「そうだっけか?」



放課後になって高橋くんと結城くん、沙月ちゃんの4人で近くのファミレスに向かった。


みんなで受験に向けて勉強しようという運びになったからだ。


夏休みになればみんな夏期講習に通い出すけれど、その前にやれるところはやっておこうという算段。


塾のパンフレットは沙月ちゃんがみんなのぶんを持って来てくれたから、きっと同じところに通うことになるだろうけど。


やっておいて、損はない。



「あ〜、マジわっかんねぇ」


「頑張ろう。高橋くんならきっとできるよ」


「う〜ありがとう、日高ぁ」



涙目になっている高橋くんに声をかける。
うるうるしている高橋くんの瞳に見つめられて、少し胸がキュンとしたのは気のせいじゃない。


ノートに目を移すふりをして、目をそらした。


真夏のファミレス。冷房はキンキンに設定されているのか涼しさを感じていたのに、一瞬で熱を感じた。


まだ寒い季節を高橋くんと過ごしたことはないけれど、この調子だったら高橋くん、暖房の役割を担ってくれるんじゃないだろうか、なんて。


バカみたいな発想までしてしまう。
本当バカみたい。


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