いつだってそこには君がいた。
夏休み、どれだけ努力できるだろうか。
みんなと同じ高校に生きたいって、その一心で。
夏休みには親と先生との三者面談がある。
そこでもう大体の人は進路を決定する。
人生がかかった夏休みだ。
「今日もファミレス行くよね?」
「うん」
沙月ちゃんの呼びかけに、私と男子ふたりも頷いた。
終業式だけ行われた今日。午前中だけで終了したから、時間はたっぷりある。
「今日は時間たっぷりあるなぁー」
「う、うん、いっぱい勉強できるね」
高橋くんも、同じこと考えていたのか。
ちょっと、びっくりしてしまった。
「ゆりりん」
その声に振り向くと結城くんが私の髪の毛に手を伸ばす。
「埃、ついてるよ」
「あ、ありがとう」
取ってくれた埃をはらう結城くんを「ずりぃ」と高橋くんが頬を膨らませた。
「なんで空斗、日高の髪の毛触ってんだよー」
「あ?」
「ずるいずるい」
「俺は親切でやってんだよ。お前の下心と一緒にすんな」