いつだってそこには君がいた。



言い負かされていじけたように口を尖らせる高橋くんと目が合う。


え、え……?



「髪の毛、なんで?」


「日高の髪の毛ちょーサラサラしてそうなんだもん」


「それ変態じゃない?」



沙月ちゃんの鋭い突っ込みに「ぷっ」と結城くんが吹き出して、当の本人は顔を真っ赤に染め上げた。


涙目になりなかまら「もう……お前らきらい」なんて、言って。


それも本気ではないことがわかるから笑える。



「早く行こーぜー」



うな垂れる高橋くんをわざと置いていくように、結城くんがそそくさと教室を出る。
その後に続いた沙月ちゃん。



「高橋くん、行こう」


「なあ、俺」


「ん?」


「変態じゃ、ねぇーから」



上目遣いで私を見る黒い瞳。



「わかってるよ」



欲しがっている言葉が、なんとなくわかったから、そうなげかけた。



「大丈夫、行こう。ね?」



しぶしぶ頷いた高橋くんに笑って手を引いた。


……子供っぽい高橋くん発見。



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