Love is up to me!【完】
「あ、そうだ。今度うちにも遊びに来なよ。お母さんも、喜ぶと思うし」
「いくいく!」
「もちろんめいちゃんもね」
そこで、来店してすぐに注文していたハンバーグセットが運ばれてきて、それぞれの前に置かれた。
熱い湯気が上っていて、良い匂いがする。
「きゃー、美味しそう」
「だろ? うちのメーちゃんのお眼鏡にかなう洋食屋なんてそうそうないんだかんな!」
「なんで清太が偉そうにすんのよー」
「……って、ハンバーグで思いだしたけどさ、さくら組で、泥団子とハンバーグを間違えて食って、大騒ぎになった奴いなかった?」
「やばい、覚えてる! 三坂でしょ? 私中学まで一緒だったよ! 今もたまに連絡取り合ってんの! でね、」
……内輪ネタ。入っていけない。
サクロと静ちゃん、そのどちらとも目を合わせないように黙々とハンバーグを口に運んだ。
……美味しい、けど、いつもより、味が薄く感じる。……味、しない。
私を置いて、会話の弾んでいる二人の声を聞きながら、意識は別の方向にあった。
……すごいなあ。幼稚園が一緒だったとはいえ、もう10年近く年賀状のやりとりだけの相手と、こんなに早く打ち解けられるなんて。