Love is up to me!【完】
慌てて振り向けば、訝しげに私を見る1年生の女子が、こちらへ近づいてきて、――私の隣の男子に話しかけた。
「汐田(シオタ)先輩、来月の新刊のことなんですけど――」
「ああ、これね……」
――は、恥ずかしい……!
“城田”じゃなくて“汐田”だった……!
聞き間違いだった。やだやだ恥ずかしい……!
しかも、よく見れば汐田くんって同じクラスの汐田くん……!
横で図書局の作業をしているのに、全然気付かなかった。
……き、消えてなくなりたい……。思い切り返事、しちゃった。
羞恥でその場に固まったままいると、話が済んだらしい女の子は再び私を一瞥して、戻っていく。
……き、気まずい。
取り残された汐田くんと不意に目が合って、軽くパニックになっていれば汐田くんが曖昧に微笑んでくれたので、私もぎこちなく微笑み返す。
「えっ……と、ごめんね? 後輩が紛らわしくて」
「……ぜっ、全然、……私こそ勘違いして、……ごめんなさい……」
「……いやいや」
恥ずかしすぎて、顔が上げらんない……!