Love is up to me!【完】
そっと上を見上げれば、穏やかに微笑んだままの汐田くんとばっちり目が合ってしまう。
だけど今度はそらさなかった。そらせなかった。
「めい子ちゃんは、俺に会いに来たんだよ」
「……」
「ね?」
――ああ。
私のこと、庇おうとしてくれてるんだ。
サクロに、ここにいた理由を知られたくないの、察して、汐田くんは庇ってくれてるんだ。
「……嘘つけよ」
不機嫌そうなサクロの言葉を無視して、汐田くんと目を合わせたまま首を縦に勢いよく振る。
「汐田くんに、会いに来た……」
「……」
ぼそりと言えば、目尻をきゅっと下げた汐田くんが、“良い子”。私に口の形だけで伝えた。
しばらくの間サクロは汐田くんを睨んでいたけれど、結局は何も言わないままこちらに背を向け、静ちゃんの元へと戻っていく。
……あ、行っちゃう……。
思わず引きとめそうになったけれど、ぐっと堪えて図書室を出て行く二人の姿を見送った。