Love is up to me!【完】
生温かい息が耳にかかってくすぐったい。背中にびびっと強力な電流を流しこまれたように背筋が伸びた。
幼馴染の過剰なまでのスキンシップはいつものことで、内心どきどきしつつも敢えて口に出したりはしない。
昔からこうなんだ。サクロは私をぎゅってする。温かい。
「どうして私がナオくんの彼女になるの?」
「だってこの前、メーちゃん言ってたじゃん。ナオくんと初めて話したって嬉しそうに」
「それだけだもん、なれないよ。それだけじゃ、ナオくんの彼女になんて」
そっかー、と間延びした相槌を打ったサクロは、不意に私の背から自分の体を離した。
「メーちゃんは俺と付き合うもんな!」
それから無邪気に笑った後で、私の短い髪の毛をくしゃくしゃと撫でる。
その冗談か本気か分からないサクロの提案を聞き、乱された髪の毛を整えた。
十中八九前者であることは明白で、でもそれでもどきどきしてしまう。
「メーちゃん、赤くなってるよ?」
「やだ、見ないで!」
「やばい、メーちゃん可愛い」
それからしきりに可愛い、可愛い、と連呼するサクロを止められる人間は誰もいない。
指摘され、火照った頬を手のひらで覆って隠せば、不意に
「めい子」
落ち着いた声に名前を呼ばれた。