Love is up to me!【完】
「七海ちゃん!」
「1時間目体育だから、移動するよ、早く来て。男子は外でしょ?」
「待って!」
慌てて席を立ち、不満げなサクロに「行くね」と一声だけかけて七海ちゃんの背を追う。
やっと追い付いて並んで歩けば、ふーっと息を吐いた友人は教室を振り返って、おかしそうに吹きだした。
「やばい、ウケるわ」
「え、何が?」
「佐久路とめい子。見てて飽きない。絶対両想いのくせして、付き合わないよね、二人」
「えっ」
慌てて首を振って、両想いじゃないよ、と早口で否定する。
両想いじゃない、きっと。私はサクロのことが好きだけど、サクロは違うもん。私の片想いだ。
「どうして? 毎日毎日、佐久路、めい子に告白してるじゃない」
「違うよ、サクロはからかってるだけだもん。小2からずっと一緒で、私のこと妹みたいにしか思ってない」
「ネガティブか」
ふっと笑った七海ちゃんの声に唇を尖らせて、階段の踊り場に出れば、本日の話題の中心、ナオくんとその彼女さんとすれ違った。