Love is up to me!【完】
「……メーちゃん」
だって、私を呼ぶサクロの声はいつだって優しかった。
心地いい響きは、私だけのもの。何故気付かなかったんだろう。
大好きだと、今まで自分の気持ちを言えなかったんだろう。
サクロが私にそっと触れる手は常に温かくて、優しかったことを、知っていたのに。
「……俺と付き合ってください」
どきどきと、心臓が早鐘を打って顔が熱くなるのを感じる。
サクロの発した言葉一文字一文字が耳に残ったまま短い間に何度も反響した。
こういう時になんて答えればいいのかわからない。
よろしくお願いします、と改めるのも、ただ一言だけで、はい、と返すのも妙に気恥ずかしい。
いい言葉はないものか、と考えているうちにサクロの表情は緊張から不安へと色を変え始めた。
……だめ、また誤解されてしまう……! 嫌なんじゃ、ないのに!
慌てて何か言おうとするけれど、空気を呑みこんだだけで声が音にはなってくれない。