Love is up to me!【完】
おかげで、“城田めい子に好かれれば彼女ができる”なんてありもしないデマまで流れ出て、中3の頃には違う意味でのモテ期を体験することになる。
そのせいで、女子からは軽く省かれかけて、七海ちゃん曰くの“城田めい子現象”は当人である私にとってあまりいい思い出のあるものではなかった。
……軽く、で済んだのは、きっと、あのとき庇ってくれたサクロのおかげなんだけど。
――ちょうどその頃から、それまではただの幼馴染でしかなかったサクロのことが好きになったんだ。
思いだして、気持ちを自覚して、なんとなく恥ずかしくなる。
3階の2年生の教室から、階段をその分下りて辿りついた1階の冬初めの体育館は、暖房が入っておらず肌寒い。
こんな中、男子は外でソフトボールか。サクロ、風邪、引かないといいな。
と、思ったそばから私の方がくしゃみをしてしまい、七海ちゃんに心配されてしまった。
「……あれ、あんな子、いたっけ?」
顔をそむけたその拍子に目に入った、長い髪の毛を三つ編みにした女の子。可愛い。
体育が合同の隣のクラスの女子の輪の中心にいて、あれだけ可愛ければ目立ちそうなものの、まるで見覚えがない。
尋ねた私の視線を追った七海ちゃんが、ああ、と頷いた。