陽だまりをくれたきみが好き。


「……?」



早瀬くんの目線が私を見る。

ニッと口角をあげると、こぶしをカッコ良く突き上げた。


勝ったぞ!

そう言われたみたいに、嬉しくなる。


私も手をグーにして早瀬くんに向けて突き出した。


たぶん、

その時の私の顔は

相当なぐらいに笑っていたと思う。



「約束だから。謝れよ」



試合が終わって部活の休憩時間。


渡り廊下のところに私と内田くん、それから早瀬くんと佐々木くんがいた。


納得の行ってないことは佐々木くんの顔とふてぶてしい態度を見ればわかる。



「ちっ……なんで俺が謝んなきゃなんねぇーんだよ……」


「負けたからだろ。さっさと詫びろ」



早瀬くんの強気の言葉に、目線を仕方なくあげて私を見る。


……私の気持ちは、彼とは正反対に穏やかだった。



「いいよ、佐々木くん。謝らなくて」


「え?」


「いいの。悪いと思わないなら、謝らないでほしい」



心のこもってない謝罪は要らないや。



「本当に悪いことをしたって気づいたら……謝ってほしい、です……」



信じられないとでも言うように、目を大きく見開く佐々木くん。


私は、私はね?佐々木くん。


人を恨んで生きたくないんだよ。


< 116 / 206 >

この作品をシェア

pagetop