陽だまりをくれたきみが好き。


友だちへの憧れ。

キラキラした笑顔に満ちた世界への憧れ。


……そう、私。


ずっと、みんなに憧れていた。


泣きながら、傷つきながらでも。


みんなにいじめられているのに、

そんなみんなと同じように笑っていたかった。


固まって話す昼休みや、移動教室。

ひたむきに頑張る部活動。


楽しそうにしてるそのどれもが、ずっと羨ましかった。


独りでいたからこそ、今の私がどれだけ幸せで、尊いことかわかるんだよ……。


悪意に敏感になったからこそ、私は臆病者になったけど、勇気を出して変われたことは私にとって、かけがえのないものになった。



「感謝してるとは、言わないけど……でも、私、今怒ってないよ……っ」


「……んだよ」


「え?」


「うぜぇ……」



舌打ちした佐々木くんが私に背中を向ける。


早瀬くんを見ると「それでいいよ。間違ってないよ」って言うように笑ってうなずいてくれた。


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