陽だまりをくれたきみが好き。



「恋をするにはまず相手だよね」


「沙都子はクラスに気になる人とかいないわけ?」


「えー…いない、かなぁー」


「だよねー私も。相手いないねー」



恋、かぁ……。

そういえば早瀬くんはまだ登校して来てないんだなぁ。


教室を見渡しながらそんなことを考えた。



「ねぇ、麻衣は早瀬くんのこといつ好きになったの?」


「えっ」


「わあ、それめっちゃ気になるんだけど〜!」



ふたりの瞳が興味津々に輝いている。

突然の問いかけに顔が引きつっているのが、自分でもわかった。


えっとぉ……。

なんて答えたらいいんでしょう……?

……と、いうか。


私、いつ早瀬くんのこと“好き”になったんだっけ……?



「みんなグッモーニーン!!」


「おお、亮太どうしたんだよお前テンション高ぇな〜」



タイミングを見計らったかのような早瀬くんの登場に、ほっと胸を撫で下ろす。



「ウワサをすれば……だね」


「うん……」



苦笑いを浮かべることしかできなくて、罪悪感が募っていく。


……答えられなかった。

最悪だ、私……。


好きなのに、好きってことがどんなことかわかんない。

いつ好きになったかなんて、もっとわからない。


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