陽だまりをくれたきみが好き。


近づいてくる彼の足音。

グッとひざの上で手を握りしめた。



「おはよ、川口!」


「……おはよう……」


「今日すっげぇ天気いいな!ピクニック日和?」


「そう、だね……」



真っ直ぐ、早瀬くんを見られない。



「……川口?なんかあった?」



優しい声に、くちびるを噛む。



「っ…なんでもないよっ。ありがとっ」


「そうか?んなら、いいけど……」



首をかしげて、私の心配をしてくれる。


……そうだよ。


私はそんな優しい早瀬くんを好きになった。

ちゃんと好き、なんだよ。


なのになんでこんな不安で押し潰されそうなの……。



「川口、こっちむいて」



呼ばれて顔をあげた瞬間……。



「……!?」



両頬を早瀬くんの手が包む。

包むっていうより、挟まれてるって言った方がいいか。


自然と口がタコさんみたいになる。



「ぷ…くくくっ。おもしれぇー顔」


「ひょっと…!はやへひゅん…?」


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