陽だまりをくれたきみが好き。
「……っ……」
ち……近いよ……。
グッと近づいた距離、触れている手、久しぶりに向けられた視線、聞けた声、言葉。
すべてが嬉しくて、泣きそうだ。
お腹の底から押し寄せるように来る、この強い感情はいったいなんなんだろう……?
トクン、トクン……。
淡く広がる、オモイ。
滲みでる、なにかの香り。
顔が赤くなってて、恥ずかしい。
「なんで、ここに来たんだよ」
「……ネコちゃんが……心配で……」
「バカ野郎。雨降ってんだから真っ直ぐ家に帰れ」
「内田くんだって」
「あ?」
「お、怒らないでください!」
「べつに怒ってねぇーよ!」
「…………」
「…………」
無言になる。
ザアァッと、より一層雨が強くなる。
「なんなんだよ、この状況は」
「知りませんよ……」
口ごたえする私に内田くんが舌打ちをする。
背の高い内田くんが私を見下ろしててあまりの迫力に「うう……」と、うろたえてしまった。