陽だまりをくれたきみが好き。
「まずはファンデね。化粧水をしっかり塗ったあとにリキットで下地をかためて、粉のファンデ。丁寧に塗るんだよ?」
そしてはじまったお化粧。柔らかいスポンジで叩くように広げていく笠原さんの手つきが手慣れていて。
……よくわからないけど、すごい。
「次にアイプチ!麻衣ちゃんは線はあるけど食い込んでないから一重にみえるんだよね」
取り出したマニキュアのような小瓶に目を見開く。
……ア、アイプチって、なに!?
なにもわからないまま目をつぶってと言われて目を閉じると冷んやりしたものがまぶたに塗られた。
プラスチックの小さな棒のようなものでグイッとまぶたを押されて痛かったけれど「我慢して」と笠原さんに言われたから我慢するしかない。
そしてそのまま1分ぐらい待つ……。
「開けていいよ」
言われたままに、目をゆっくり開いた。
ーーえ、すごい……。
「私……二重になってる……」
鏡の中の私が……私じゃないみたい……。
下を向いたり、まばたきをすると突っ張るような感覚がするけど、真っ正面から見た私は……
少しだけ、可愛いのかもしれない。