陽だまりをくれたきみが好き。


目の前にいる女の子は本当に玲香なのか?


ぱっちりした二重と高い鼻。

ぷっくりとしたくちびる。


どこからどう見ても美少女。


声が似ているだけかもとか思ったけれど、玲香が持っているカバンについているキーホルダー。


それは、俺が玲香の誕生日にあげたやつだ。



『えへへ、どお?』


『……どうって、お前……」』


『これで亮太、私のこと好きになってくれるかな?』



言葉が詰まった。


まさか。亮太に好かれようとして、そんなことしたっていうのか?



『なにが面白くてお前みたいなブスと付き合わなきゃいけねぇーんだよ』



……俺のせいだ。


玲香の真っ直ぐで純粋だった亮太への気持ちを、俺がただむしゃくしゃするって理由だけで言ってしまった非情な言葉で


……ねじ曲げてしまったんだ。


玲香を変えてしまった。

俺のせいで。俺の言葉で。


ーー殺してしまった。


そう、思ったんだ。



『なんで黙ってるの?ねぇ、私まだどこかおかしい?ブスかな?』


『……っ……』



胸が痛くて死にたくなった。


どうして俺はこんなにバカなんだ。

どうして玲香の気持ちを考えなかった。


俺は知っていたじゃないか。


玲香が自分の容姿にコンプレックスを抱いていたこと。

誰よりも亮太が好きだったこと。


あんなことを言ってしまえば、金持ちの玲香が整形に踏み込んでしまうことぐらい、予想ついただろうに。


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