陽だまりをくれたきみが好き。


「やっぱりね。麻衣ちゃん輪郭シャープだし、唇のかたちいいし、目だよ、目!」


「目……?」


「人の印象を決めるのは、目なんだよ。だから麻衣ちゃんもさっきと全然違うく見えるでしょ?」


「う、うん…っ、確かにっ……!」



ずっと外見のことで悩んで来た。


鏡を見るのがイヤで、ブサイクな自分を誰かに見られるのも、イヤで。


なのに二重にするだけでこんなにも違う人になれるんだ……!


鏡の中の私に感動に近い感情を覚えた。



「ふふっ。麻衣ちゃん嬉しそう」


「え?」



私……嬉しそう?


鏡で自分の顔を見ると、どことなく嬉しそうに頬をピンクにしている私がいた。


笑ってる……。


私、笑えてる……こんな自然に……。



「よし、次は眉毛ね?……あー、ちょっと剃るから目閉じて上向いて」



ジョリジョリと剃られる眉毛。


……笠原さんの手で、私がどんどん変わっていく。


嫌いな私が、少しずついなくなる。



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