陽だまりをくれたきみが好き。


土曜日。


いつもより少し遅めに起きてお弁当つくり。
今日はいつもより腕によりをかけてつくるの。


天気は晴れ。絶好の初デート日和。



「あら今日は学校休みでしょ?」


「……うん。でもデートなの」



私の言葉に飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになるお母さんに慌ててタオルを渡す。


そんなに驚くかな……。


すこし、苦笑い。



「……あんた、彼氏いるの?」


「いるよ」


「どんな人?」



早瀬くんは……。



「一言で言うとクラスの人気者。すごく優しくてカッコ良くてスポーツもできて、頭もいいの。それでねーー」



……それでいて。



「すごく、一途なひとだよ……」



目線を卵焼きに移して微笑むとお母さんが首をかしげる。



「私には、もったいない」



今まで一緒に過ごした早瀬くんとの思い出を振り返ると、胸がじんわり温かくなる。


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