陽だまりをくれたきみが好き。



あんなに曇っていた心がこんなにも晴れていくだなんて。


生まれ変われた気分。



「ただいま」


「おかえり。遅かったね」



駅とバスを乗り継いで、やっとの思いで帰宅した。


中学3年生の時の先生との進路指導で私は家から通える一番遠い学校がいいと言った。


学校の理念とか、将来とか、そんなことはどうでもよくて。


……ただひたすらに、中学校のみんなと同じ学校には通いたくなかった。



「……どうしたの、その顔」


「と、友達に、してもらったの……」


「友達?あなたに?」


「うん……」



お母さんのトゲトゲしい言葉に心がしぼんでいく。


……なんで?


私に、友達がいたらおかしい?

ダメなの?


どうしてそんな言い方するの……。


お母さんの表情見てたら、そんな風に考えちゃうよ……。



「ぜんぜん似合ってないわ。所詮つくりものでしょ?そんないつわりの顔で可愛くなってうれしいの?」


「……っ……」



お母さんの言葉に悔しくなってくちびるをぐっと噛む。


なんでそんなこと言うの?


嬉しかったよ、私は。


可愛くなれて。


お母さんにはわからないだろうけど。


新しい私を、全否定されたみたいで、苦しくなった。


< 23 / 206 >

この作品をシェア

pagetop