陽だまりをくれたきみが好き。


まじめだった私は黙ってちゃんと先生の言うことを聞いていた。



『一つ目、信号は青でも絶対に右左を確認して渡りましょう!!』



……聞いていたから、いけなかったんだ。



『次に!移動中は危ないので、必ず隣の人と手を繋いで歩きましょう!』



となりの人と手を繋いで歩く……。

となりのひと……。


覗き見るように、となりで友達とはしゃいでいる佐々木くんを見た。


……佐々木くんはクラスの人気者。

運動神経もよかったし、いつもみんなの中心にいたから。


……誰よりも影響力があった。



『みんな起立!出発しまーす!』



先生の声にみんなが待ってましたと言わんばかりに立ち上がる。

そして私はごくごく自然に隣にいた佐々木くんの手を握った。


……だって私はそれが当たり前だと思っていたから。


だから……。



『うわ!なんだよ、川口!きもちわる!』



って、手を跳ね除けられた時、なにをされたのか理解できなかった。


……え?


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