陽だまりをくれたきみが好き。



そんな人が私にいったいなんの用なんだろう……?



「卵焼きいっこちょーだい!」



……え?あっ!!


ぱくっと、一切れをいっきに飲み込んでしまった早瀬くんを見て思わず立ち上がってしまった。


ちょっと……っ、それ……!!

味がまったくしないやつ!!



「んー?どした?」


「そ、そそそれ……!今日なんか味つけし忘れてて、それで、その……味が……あああ、ごめんなさいぃ!」



美味しくないものを食べさせてしまったことが申し訳なくてガバッ!と頭を下げた。


なんでよりによって卵焼きなの〜っ。


どうせなら美味しくできたやつを、食べて欲しかったのに……。


唐揚げとか……。


目をぎゅっとつぶっていると「ぷ!」って、吹き出すような早瀬くんの笑い声が聞こえた。



「確かに味しないなーとは思ったけど」


「……っ……」


「それよりも川口しゃべれんだな!」



え……?


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