陽だまりをくれたきみが好き。



憧れるから、ひとりぼっちの現実が、痛い。



「んじゃ」



内田くんが教室を出る。


目の前の残されたあんパンに目を移すと、すこしだけ笑えた。


これを買ってる内田くんは想像つかないなぁ。


……でも、嬉しい。


あんパンを食べようと袋を開けたその時。



「なにあれ……」

「川口さんてなんなの」

「早瀬くんも内田くんとも仲良いよね」



聞こえて来た声に、身体が緊張する。


……あぁ、やばい。


私、また、いじめられるのかな。


そう思うとせっかく内田くんからもらったあんパンの味が、よくわからなかった。


手が震えて、緊張した。


人が、怖い。

人と関わるのが、怖い。


いじめられるのは、イヤだ。


いじめられるぐらいなら、ひとりぼっちがいい。


だけど、やっぱり。


ひとりも、すごく寂しい……。


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