陽だまりをくれたきみが好き。


断ろうと思った。


ムリですって。
あなたには釣り合いませんって。


だけど、やっぱり見てみたいんだ、私も、キラキラしたところを。


楽しさで、溢れた日常。


笑顔しかない、毎日。


平凡でも、いい。

普通が、一番だと思ってた。


だけど、早瀬くんを見てると錯覚しちゃうの。


早瀬くんは私にそれを教えてくれるんじゃないかって。

私にそれを見せてくれるんじゃないかって。


憧れて、でもどうせ私なんて……と、諦めていた輝きに満ちた世界に、本気で私と向き合ってくれている早瀬くんとなら、私も行ける気がするの。


完璧に信じきるのは、怖い。

一歩を踏み出すのは、すごく怖いよ。


でも私、このまま一生暗い世界に取り残されたまま生きていくの……?


そんなの……イヤだ。


だから。

これがラストチャンスだと、思おう。


私に話しかけてくれる男の子なんて、もういない。
私に好きだなんて言ってくれる人なんてもうきっといない。


これが私が一歩を踏み出せる、ラストチャンス。



「はい。わ……私で、よければ、よ……よろしくお願いします……っ」



明日の私が、笑えますように。


迷いながら、新しい私への一歩を踏み出す。



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