陽だまりをくれたきみが好き。



「川口!」



は、早瀬くん……っ!


走ってやって来た早瀬くんは私の手をまた掴むと「ホームルームさぼろ」と、私の手を引いてまた来た道を走りだした。


さ、さぼるの……?


早瀬くんのなすがままに、たどり着いたのは立ち入り禁止でもある屋上。


鍵がしてあるのかと思いきや、扉は思いのほかすんなり開いて。

外へ出ると春の風がビューンと吹いた。



「は、早瀬くん……っ」



手を、離してください……。


握られたところから熱が伝わって……ドキドキして……どうしたらいいのかわからない。


苦しい。苦しいの、すごく。


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