陽だまりをくれたきみが好き。



生まれてはじめて感じるこの温かくも苦い気持ちをどうすればいいのか、私は知らないの。



「さっきはごめん」


「え?」


「束縛とかじゃねーんだよ。ただ、川口とは正直まだ距離があると思う」


「うん……」


「だから、ゆっくりでいい。川口のことちゃんと知って、川口には俺のことを知ってもらって……それで二人で笑ってられればなって思ってる」



ギュ……と、握らている手。

大きくてゴツゴツした、男の子の手。


男の子と手を繋ぐのは、あの時以来だし、すごく緊張するっていうか、胸がキュッとして痛い……。


私の中でちょっとしたトラウマになっているのかもしれない。



「わた……しは……怖いんです……」



震えた。

声も言葉も身体も……心も。


怖くて、怖くて、たまらない。



「人が……怖い……」



人の心が冷たいのをよく知っている。


いじめなんてしてはいけないことは、誰でも知ってる。


なのにいじめはどこにでもあるし、誰も止めようとはしない。


< 67 / 206 >

この作品をシェア

pagetop