元殺し屋と、殺し屋
市松模様の右斜め上に、赤いシールが貼られている。
こんなシール、さっき席決めの時はついていなかった!
いつの間に貼りつけていたんだ!?
「先ほど、紅羽がカードを落とした時、紅羽の目を盗んで貼っておいたんです」
裏だと、絵ばかり見える私からは見えない。
澪鵺はこのシールを見て、ジョーカーを取らなかったんだ!
「卑怯だよ!」
「この位やらないと、世界一の殺し屋の地位は守れませんからネ」
うぐぐぐぐ・・・・。
「紅羽もご存知でしょう?
世界一の殺し屋が、世界一命を狙われやすいと」
・・・そう。
私も現役時代、何度襲われ、何度殺されそうになったか。
世界一の殺し屋を殺せば、世界一になれる。
世界一になれば、仕事も多く入るし、お金も誰よりも高くなる。
お金に目がくらんで、殺し屋は世界一の殺し屋を殺しに来る。
学校だから安心、なんて考えは通じない。
お金は、人間を狂わせてしまう・・・麻薬のようなものなのだから。