元殺し屋と、殺し屋
「同じ部屋で嬉しい?」
喜ぶべきなのか?
「どういう意味?」
「意味ですか・・・。
今夜、わかりますよ?」
「そう・・・」
ホテルの宴会室に運ばれていた大きな荷物を持ち、私たちは部屋へと向かう。
エレベーターは案外狭く、6人入ればギュウギュウおしくらまんじゅうだ。
「ねぇ紅羽」
「聞きたかったんだけどさぁ」
「どうした?」
エレベーターは上がるスピードもかなり遅い。
荷物がもし軽かったら、階段で行きたかったと思えるほど。
殺し屋になるための訓練で、体力もついているからね。
「紅羽と神崎って付き合っているの?」
「お互い名前で呼んでいるよねー」
「ブッッ!」
思わず吹き出す。
飲み物とか飲んでいなくて良かったと、この時ほど思う日はないだろう。