元殺し屋と、殺し屋
「私でさえも会ったことないのに!?」
「え・・・そうなんですか?」
「どうして会っているの!?」
氷さんの話だと。
ボスは人間嫌いな上、少し快楽殺人者らしいので、むやみに人と会うと殺してしまうらしい。
ブラックキャット幹部である氷さんでさえも、あんまり会ったことがないって。
そのため、ボスは謎に包まれた存在なのだ。
「・・・」
私が恐らく好奇心旺盛な瞳を澪鵺に向けると、澪鵺は、この上ないだろう冷たい瞳を私に向けた。
茶色い瞳のはずなのに、どこかどす黒い。
冷たき黒い瞳の中には、哀しみ・憎しみなど、多くの負の感情が渦巻いている。
「・・・れい、や?」
「・・・根っこのところは話せないんですが」
「え?」
「ボスに拾われたんですよ、俺は」
「拾われた・・・?」
「俺はごく普通の家庭で育ったんですが、ある時それが全て壊れてしまって。
俺は“日常”を壊した奴を憎みました。
その時出会い、拾ってくれたのが、ブラックキャットのボスです」
そうだったんだ・・・。
澪鵺にも、忘れられない人や、過去、それに
闇があったんだね・・・・・。