元殺し屋と、殺し屋
その時になったら
先生たちの目を盗み、
私と澪鵺は、夜の街へと駈け出した。
ホテルから出ることは簡単だった。
澪鵺が先生たちの見回り時間を把握していたから、見回り時間ではない時に部屋を抜け出す。
その際予備の布団を掛け布団に隠し、いかにも誰かが寝ているように仕掛けた。
鍵をかけたかったのはやまやまだったけど、鍵を閉めたら逆に先生が不審がると思い、鍵は開けたまま。
澪鵺は銀髪と目を隠すため、眼鏡にカツラをかぶり、変装した。
私も一応、ますます目立たぬよう変装した。
・・・そういえばこの時、澪鵺「紅羽はそのままで良い。変装できてる」って言われたんだけど・・・可笑しな澪鵺。
真夜中のため、ホテルで働く従業員さんたちもいない。
廊下を出歩く生徒もいない。
話し声は、時々したけど。
ホテルに滞在する一般客にも会っていない。
私たちは誰にも会うことなく、ホテルから脱走することに成功したのだ。