元殺し屋と、殺し屋
でも。
もしあの日がなければ、
俺は紅羽が好きになっていただろう。
天才殺し屋、誰も敵わない殺し屋。
それがダークだ。
ダークこと玉置紅羽は、どんなヒドい奴か、俺は想像した。
血を浴び、笑い声を闇に響かせる狂った奴。
快楽殺人者。
それが紅羽に出会う前の、俺の紅羽への印象だった。
しかし、俺の想像は簡単に砕け散った。
三つ編み眼鏡に膝下スカートの地味子で現れた紅羽。
友達100人作ることが目的だとか。
小学生かと突っ込みそうだ。
飛んだ馬鹿かと思った。
でも、紅羽はどこまでも真っ直ぐな奴だった。
殺しは人を傷つけるから、親友との約束を守るため。
紅羽は殺し屋を辞めた。
なんて友達思いの奴だろうと驚いた。
クラスで浮いていた相島と逢沢にも話しかけていた。
どんな奴にも、分け隔てなく接する。
殺し屋とは思えない人物だった。