元殺し屋と、殺し屋
「澪鵺・・・?」
「それだけではないはずでしょう?」
「え・・・?」
「何故、突然有咲さんのことを思い出したんですか?」
「それは・・・泣いたから」
「何故泣いたんですか?」
ゆっくりと・・・私たちの距離が短くなっていく。
私が1歩後ずさりすると、澪鵺は1歩踏み出す。
それを繰り返していき・・・私はついに壁に行く手を阻まれた。
「澪鵺・・・近いよ・・・・」
目の前には、美しい妖がいる。
白い手をトン・・・と壁につける。
何、コレ。
めちゃくちゃドキドキする。
距離近いし。
「紅羽、ドキドキしないんですね」
「へっ?」
「これ、世間で言う、“壁ドン”・・・ですよ。
世の中の女性は殆ど、このシチュエーションに憧れます」
これが・・・
氷さんが高校に入る前私に教えてくれた・・・“カベドン”。