元殺し屋と、殺し屋








「ある人物・・・?」

「あなた方へ仕事を渡す・・・和泉氷さんです」

「氷さんが?」

「氷さんは任務を終えた沖島有咲に伝えたんです。
ここ、遥華港へ来るよう。
そこで待ち受けていた俺に、俺がダークへの復讐を誓っていることを教えられたんです」

「・・・」

「その後沖島有咲は紅羽に連絡し、殺し屋を辞めることを伝えたんです。
これ以上紅羽に罪を犯してほしくなかったからです。
そして、俺は沖島有咲を殺害しました」

「澪鵺が復讐を誓っているのは私へのはずよ。
どうして有咲が死ぬのよ、関係ないじゃない」

「関係ありますよ。
だって沖島有咲は、ダークの大切な仲間ですから」

「仲間・・・?」

「ダークは世界一の殺し屋。
殺し屋になったばかりの俺には、敵うはずのない相手。
真向に勝負しに行ったって、負けるのがオチです。

なら、仲間から徐々に殺して、ダークを焦らせる作戦を実行したんですよ」




・・・そんな。

私のせいで・・・有咲は。




「俺はその後も、紅羽への復讐心を秘めたまま、殺し屋の実力を上げて行ったんです。
全ては紅羽・・・あなたへの復讐のため!」

「澪鵺・・・」

「紅羽、あなたに仲間はもういません。
氷さんも、決してあなたの仲間ではなかったんですから」

「え・・・?」



氷さんが・・・?



「氷さんは俺が復讐を遂げるため殺し屋になったのを知っていた。
沖島有咲を殺したのも俺だと気が付いていたんですよ」









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