元殺し屋と、殺し屋
第5章~闇から光へ~
氷が溶ける頃
☆☆☆
あの日から5日後。
どうやって港から家へ帰ってきたのか覚えてきていない。
私は有咲の亡くなった時のように。
ベッドの上で膝を抱えながら泣いていた。
前言撤回。
涙は流れていない。
ただ、心は泣いている。
苦しくて、上手く呼吸が出来ない。
過呼吸って、こんな感じなのかな?
そんなことをぼんやりと思う。
澪鵺・・・いや、神崎とは会っていない。
あの日から、神崎を澪鵺と呼べなくなってしまっていた。
『・・・サヨナラ、玉置さん』
記憶にある、最後の声。
私を、“玉置さん”と呼んだ。
私も・・・神崎と呼ばないといけないみたいで。