元殺し屋と、殺し屋
「うっ・・・うっ・・・うあっ・・・」
意味を持たない言葉を、延々と並べていた。
ピーンポーン
・・・誰?
誰か来るなんて・・・あり得ないのに。
私は泣きすぎて腫れた目のまま、玄関へ向かい、扉を開けた。
「!?何の用ですか!帰ってください!!」
「・・・その態度なんだよ。
わざわざ会いに来たのによ」
「裏切り者には会いたくありませんっ!」
「裏切り者って・・・。
まぁ、確かにそうだよな」
眠そうに欠伸をする男―――氷さんは、いかにも機嫌悪そうな目線を私へ向けた。
今の時刻は、8時。
朝が弱い低血圧な氷さんにとっては、苦手な時間帯だろうな。
多分、普段は寝ているだろう。
「良いから入れさせろ。
ただでさえ機嫌わりぃんだからよ。
・・・あんまり騒ぐと、ぶっ殺すぞ」
「・・・」
私を殺せるわけないのに、私は家の中に氷さんを通した。