元殺し屋と、殺し屋
「居場所をくれるボスに、僕は逆らえない。
ボスも殺し屋だからね・・・。
殺し屋でない僕が勝てると思うかい?」
私はフルフルと首を横に振る。
一般人が殺し屋に勝てるか聞いているようなものだ。
「それに、僕には目的があった」
「目的・・・?」
「澪鵺を・・・闇から救うこと」
「闇から・・・?」
「紅羽は始め、僕と出会った時、闇しか目に宿っていなかった。
だから僕は紅羽にダークと名付けた」
覚えているよ・・・。
両親を失い、喧嘩で負けたことなかった私が負けたんだもん。
ショックで・・・泣いていたんだよね。
「その後、紅羽の目から闇は消えた。
・・・有咲に出会ってから」
「有咲に・・・?」
「有咲と出会ってからの紅羽は、本当に幸せそうだった。
正直、有咲が亡くなってから、紅羽は再び目に闇を宿すのかと思っていた。
でも・・・宿さなかった」
「そうなんですか・・・?」
気が付かなかったよ。
闇が消えていたなんて。