元殺し屋と、殺し屋
「話していない。断られるのがオチだ」
「100%そうなるかなんてわからないじゃない。
一応イチかバチかで話してみれば?」
「・・・」
「確かに恐怖心はあると思うよ。
知紗は殺しの世界になんて無縁の世界で生きてきたんだから。
でも、知紗が本当に心から恭真が好きだと思えれば、そんな恐怖心なんてどこかへ飛んでいくよ」
「そんなに上手くいくか?」
「知らないよそんなこと。
私占い師じゃないから未来なんて見えないし」
「・・・」
「話してみる価値はあると思うよ。
恭真が知紗に興味がなかったら、そのまま断れば良いし」
「いや。俺も知紗が好きだ」
「なら言いなよ。
一般人である知紗とは付き合えないなんて・・・は?って誰でもなるよ」
「だよな・・・」
「頑張って!」
「ありがとう、紅羽」
ニコリと笑う恭真は、やっぱり爽やか王子様で。
裏のトップになる人物には思えなかった。
「紅羽。お礼にこれやるよ」
「え?」
渡されたのは紙きれ。
「教えるな言われるだろうけど、お礼で教えてやるよ。
ありがとな紅羽。
俺本当のこと、知紗に話してくるわ!」
あ、うん、行ってらっしゃい。
行動が早いもので。
私のこと言えないじゃないの。
なんだろ、この紙きれ。
開くと、住所のみ書かれていた。
多分、ここから近い。
帰り、行ってみるか。