元殺し屋と、殺し屋
仕事用の服は、一応衣替えがまだのため、長袖。
黒い服が、徐々に赤黒く変色していく。
深夜だったため、誰にも会わず家へと帰る。
意識の遠のく中、俺は玄関に倒れこんだ。
すでに手足に感覚はないし、力もない。
・・・このまま俺死ぬのかぁ。
まぁ、その方が良いや。
紅羽に好きだと伝えたところで、「嘘よ」と言われるのがオチだしよ。
氷さんもどうせ、最初から紅羽の味方だろうし。
俺、氷さんが初めからお金とか関係なく、紅羽の味方ってこと、知っていたんですよ?
どんなにお金を積まれたって、氷さんが紅羽を裏切ることなど、天地がひっくり返ってもあり得ないこと。
相島逢沢コンビもそう。
ボスが2人を調べていたから、知っているんだ。
2人は昔ヤンキーグループのリーダーで、喧嘩の末仲間を失い、それ以来1人の人がいると気になって話しかけちまう性格ってことも。
いくら友達が悪いことしても、自分たちがソイツを友達だと信じれば、一生裏切らない友達でいると決めていることも。
そんな2人だ。
紅羽が元殺し屋だと知ったからと言って、友達をやめるほど、ソイツらの決心は甘くない。
紅羽がクラスで浮き、自分たちが友達を止めれば、“1人になる”ってこと、アイツらはわかっているだろうし。
俺の予想だけど。
ボスは紅羽を“好き”だと思っている。
その“好き”が友達の“好き”か、恋愛での“好き”かはわからないけど。