元殺し屋と、殺し屋
「目的地はどこ?」
「えっとですねぇ。
ここから電車で2駅先です」
「結構遠いのねぇ」
灰色のパーカーを着て、フードを被り、眼鏡をかけている神崎が、地図らしき紙を見ている。
「怪しい格好ね。
それが殺しの時の服?」
「そうですよ。
俺目立ちやすい格好しているのでね」
確かに、殺されるとは微塵も思っていないだろうターゲットに、銀髪に紫の双眸を持つ神崎が近寄ったら、何かと驚き、警察とかに連絡してしまうだろう。
銀髪と目を見せないためには、目立たない灰色パーカーにフードを被って眼鏡をかけた方が、目立ちにくいだろうな。
「ダークさんは、それが仕事用の服ですか?」
「えぇ、そうよ」
私は“ダーク”の名の通り、全身黒い服で、闇夜に溶け込むようにしている。
私は黒髪に普通の黒い瞳なので、隠す必要はない。
「お似合いですねダークさん」
「ありがと。
ところで、1つ良いかしら?」
「何ですか?」
先ほどから、ずっと気になっていたことだ。