元殺し屋と、殺し屋
ダークは、私のコードネーム。
日本語に訳すと、闇。
当時の私に光なんてなかったから、ダークって氷さんが名付けてくれた。
私は世界一の殺し屋・ダークとして、裏の世界で名を広めてきた。
この手を沢山の血で染めた。
愛用の銃で、何十人もの人の命を奪った。
私は殺し屋としては珍しく、ターゲットの死体の上に、黒い紙にダークと英語で書かれた紙を置いてきた。
名刺みたいなもの。
そのお蔭で、ダークはニュースで度々その名があげられ、連続殺人鬼として名を広めていた。
闇の世界でも氷さんしか信じられなかった私。
ある時氷さんは、私に新米殺し屋の指導役を頼まれた。
それが、沖島有咲(おきしま・ありさ)だった。
有咲は幼いころに両親と弟を通り魔に殺され、犯人をずっと追い求めていた。
犯人を見つけたら殺したいと思っていた有咲は、殺し屋になる道を選んだ。
犯人は有咲の名前を知っている。
だから有咲はコードネームも同じ、アリサにした。
有咲は普段気弱で大人しいのに、アリサになると、その性格は変わる。
憎しみしか宿さない瞳で見つめられると、世界一の殺し屋の私でさえも怖気づいてしまうほどの怖さだった。
そんな怖い瞳を持つのに、普段の有咲は全く違うから、私は驚いていた。
私は有咲を最初は仕事仲間だと思っていたけど。
いつしか、仲間・・・親友だと思い始めていた。